
断熱等級6なのに暑い家、なぜ?本当に快適な家の条件とは
こんばんは、静岡市の工務店「かおり木工房そうの」です。
今年も静岡の夏は容赦なく暑いですね。ここ最近、「断熱等級6の家を建てたのに、夏になると家の中が暑くて困っている」というお声があるようです。
「高断熱の家は夏も快適」というイメージを持っている方も多いのですが、実はその前提には、大きな誤解があります。断熱等級6だからといって、すべての家が夏涼しくなるわけではないのです。
今日はその理由と、静岡の気候に本当に合った快適な家づくりについて、詳しくお話しします。
断熱性能が高いだけでは“快適”は実現しない
まず大前提として、断熱等級6とは「外からの熱が室内に入りにくく、内からの熱も外に逃げにくい構造」を指します。これはとても優れた性能です。冬には暖房効率が良くなり、快適性も向上します。
しかし夏の場合は、話が変わってきます。外が35℃を超える猛暑日、家の外壁や屋根は50〜60℃を超える熱にさらされます。その熱が窓から室内に入り、断熱性が高いがゆえに“逃げ場のないサウナ”状態になることもあるのです。
つまり、断熱性能が高い家ほど、一度入った熱がこもりやすい構造になっているとも言えます。
最大の原因は「日射遮蔽の不足」
私たちが実際に見てきた中で、“断熱等級6なのに暑い家”のほとんどに共通しているのが、「日射遮蔽(しゃへい)」が設計に反映されていないことです。
例えば、南向きの大きな窓が軒も庇もなしで取り付けられているケース。冬場は日が入り、暖かくて理想的なのですが、夏になると強烈な日差しがダイレクトに室内へ。
特に静岡市は、夏の太陽が高く強いため、南面に何の対策もないと室内は一気に灼熱空間になってしまいます。
ここに気づかないと、いくら性能を上げても“数字だけの快適な家”に終わってしまうのです。
庇、軒、アウターシェードがもたらす体感温度の違い
私たちが推奨しているのは、南面の窓には庇や軒を設けること。さらに必要に応じて、アウターシェードやグリーンカーテンを併用します。
これは単なるデザインではありません。直射日光を遮ることで、体感温度が2~3℃下がることもあります。実際のお客様の家でも、午前中にシェードを下ろすだけで、冷房設定温度を1〜2℃上げられたという声がありました。
日差しを「入れる」か「遮る」かで、同じ断熱性能の家でもまったく違う住み心地になる。それが“設計の力”です。
風通し、通風設計も快適さを決めるカギ
静岡市は、内陸と海からの風が入り混じるエリアです。窓の位置や風の抜け道を意識した設計をすることで、自然の風だけで室温を2〜3℃下げることが可能です。
例えば、南北に抜ける通風ラインを確保すれば、夕方の湿気を含んだ空気を一気に逃がすことができます。私たちはこういった「風の設計」もプランに織り込んでいます。
実は冷房に頼る前にできることはたくさんあるんです。
快適さは「数値」ではなく「体感」から考える
UA値、C値という性能値は、もちろん大事です。でも、数字だけを追いかけてしまうと、本来の目的を見失うこともあります。
本当に大切なのは、「住んでいて心地よいかどうか」。
私たちは“夏に涼しい”を設計の中で実現するために、日射遮蔽、通風、エアコンの位置、居場所の時間帯など細かな生活導線まで考え抜きます。
家づくりにおいて、体感こそが最大の判断基準です。数字は指標でしかありません。
まとめ:断熱だけではなく“設計”で差がつく
断熱等級6の家でも、設計次第で「夏は地獄」にも「夏こそ快適」にもなります。静岡のような日射量の多い地域では、特に日射遮蔽と通風が命。
私たち「かおり木工房」は、C値0.3以下の高気密住宅を標準としながら、庇・軒・通風・全館空調の効率までトータルで考えた“太陽に素直な設計”を行っています。
性能だけでなく、地域の風土、敷地の条件、家族の暮らし方まで。全てを読み解いてつくるのが、私たちの誇りです。
「なぜか夏が暑い」と感じている方、設計から見直してみませんか?
真の快適さは、数字の先にあります。