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「気密を高めるとカビが生える?」本当は逆!湿度と換気の正しい関係とは

「気密を上げるとカビが生える」は誤解。静岡の実例で見る、高気密住宅が“カビに強い理由”と湿度コントロールの科学を解説。

こんばんは、かおり木工房のそうのです。
静岡市は最高気温17度、北風が少し冷たく感じる一日でした。
昼間は日差しがあっても、夕方には一気に冷え込み、
「エアコンをつけようかな」と思った方も多いのではないでしょうか。

そんな季節に、お客様からよく受ける質問があります。
「気密が高すぎると、カビや結露が出るって本当ですか?」
実はこれ、住宅業界で最も誤解されている話のひとつです。

結論から言うと——
気密を高めるとカビは“減ります”。
むしろ中途半端な気密のほうが、カビ・結露・腐朽のリスクが高いのです。

今日はその理由を、科学的な視点でやさしく解説します。


第1章|「高気密=カビが生える」という誤解のルーツ

この誤解の発端は、2000年代前半。
高断熱・高気密住宅が普及し始めた頃、
“24時間換気”が義務化されていない時代に、
気密だけを高めて換気を怠った住宅が一部でカビを発生させました。

その印象が独り歩きし、
「密閉した家は空気がこもる」「湿気が抜けない」という誤解が定着したのです。

しかし現代の家は違います。
気密性能を高めながら、“計画的に換気する”仕組みが整っています。
気密が高ければこそ、空気の通り道をコントロールできるのです。


第2章|気密が低い家ほど“カビやすい”理由

カビの発生条件はシンプルです。
「温度」「湿度」「栄養(ほこりなど)」がそろうと繁殖します。
そして、湿度を支配するのは空気の動き

C値(気密性能)が悪い家では、外気がランダムに侵入します。
冬の静岡で外気が10℃・湿度60%の場合、
その空気が室内20℃に入ると、相対湿度は30%前後まで下がり、
一見“乾燥しているように”見えますが——
問題は、壁の中で結露が起きていること。

室内の暖かく湿った空気が、壁の隙間から入り込み、
外気側で冷やされて露点に達する。
これが「壁内結露」です。
つまり、気密が低いほど湿気が入り込み、見えない場所でカビるということ。


第3章|高気密住宅では「湿度をデザイン」できる

C値1.0以下の高気密住宅では、
空気がどこを通り、どこで排気されるかを正確に設計できます。
これにより、室内の湿度を40〜60%の理想域に保てます。

たとえば、かおり木工房が採用する「松尾式一種換気+全館空調Ver3」では、
床下から取り入れた空気をフィルターで清浄し、
リビング→寝室→洗面→トイレへと空気を流しながら排出。
この“ゆるやかな風の旅”が、家全体の湿度を均一に保ちます。

さらに、可変透湿気密シート(タイベック VCLスマート)を使うことで、
冬は湿気を防ぎ、夏は余分な水蒸気を逃がす。
まさに“呼吸する壁”を実現しています。


第4章|カビ・結露を防ぐ4つの実践ポイント

1. 換気経路を設計通りに保つ

家具を壁いっぱいに置くと、空気の流れが止まります。
吸気口・排気口をふさがない配置を意識しましょう。

2. 24時間換気を止めない

「寒いから」と換気スイッチを切る方がいますが、それはNG。
高気密住宅では、換気を止める=湿気を止めることになります。

3. 加湿は“適量”が大切

理想湿度は冬で40〜50%。
過剰加湿は窓際の結露を招くため、加湿器を2台以上使う場合は湿度計を併用。

4. 室内干しの空気経路をつくる

ランドリールームでの室内干しは、換気の排気ラインを意識すること。
全館空調で乾燥気流を流せば、結露ゼロでよく乾く家になります。


第5章|実測データで見る“カビの少ない家”

静岡市駿河区で2024年に竣工した断熱等級7+C値0.2の住宅では、
湿度センサーを24時間計測した結果、
・夏:平均湿度53%
・冬:平均湿度46%
・壁内湿度:常時65%以下(カビ発生ライン未満)

このデータは、国交省が定義する“健康住宅基準”を十分にクリアしています。
つまり、気密が高い家ほど湿度が安定し、カビのリスクが小さいことが実証されています。


第6章|「閉じる」ほど「こもらない家」をつくる

家を“閉じる”というと、息苦しいイメージを持つ方が多いですが、
実際はその逆。
外気やホコリ、花粉、PM2.5を遮断し、
清潔な空気だけをコントロールして取り込むことができます。

高気密住宅とは、外と内を切り離すためではなく、
“必要な空気だけを通す家”なのです。

結果、
・アレルギー症状の軽減
・カビ臭の消失
・24時間一定の温度と湿度
これらが実現し、家族全員が快適に暮らせます。


第7章|まとめ|“気密=カビ”ではなく“気密=健康”

カビを防ぐ家づくりの本質は、「湿度を制御できるか」。
そして、その第一歩が気密性能の確保です。

気密を上げることで、
・湿気の侵入を防ぐ
・計画換気が働く
・壁内の結露を防ぐ
これらがすべて“自然に”達成されます。

つまり、気密の良い家は、最もカビに強い家
「閉じる家」ではなく、「呼吸をコントロールできる家」が正解です。


次回予告(11月5日公開予定)

テーマ:
「換気を止めた瞬間、家は老化する」――24時間換気の重要性とメンテナンスの落とし穴

次回は、換気システムを止めたことで起こる“結露・カビ・劣化”の連鎖を、
実際のデータをもとに解説します。


賢い夫婦がやっぱり選んだ注文住宅専門工務店「かおり木工房」
住所:静岡市葵区瀬名川1-27-53
電話:054-261-2807(10時〜17時)
社長直通:090-6587-4713(「HP見た」とお伝えください)
施工エリア:静岡市・焼津市・藤枝市

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