
外張り断熱 vs 内断熱、それぞれのメリット・デメリットとは
どちらを選ぶべき? 断熱設計の重要選択を理解しよう
断熱リノベーションで悩む2つの工法
断熱リノベーションを考えるとき、「どこに断熱材を施工するか」は最も根幹をなす選択です。
特に、「外張り断熱」と「内断熱」のどちらにするかによって、性能・コスト・工事性などが大きく変わります。
この記事では両者の特徴を比較し、それぞれのメリット・デメリットを整理。最後に、実際の施工例や選ぶ際のチェックポイントもご紹介します。
外張り断熱とは? 内断熱とは?
- 外張り断熱(外断熱):建物の外側(屋外側)に断熱材を張る方式。外壁の外側に連続する断熱層を設け、構造体を断熱材で包むように保護する形となります。
- 内断熱(内装断熱・充填断熱):建物の内部側(壁の内側や天井・床の下面)に断熱材を入れる方式。従来のリフォームでよく使われてきた方法です。
これらは設計思想・施工手順・性能特性が異なります。まずはそれぞれの得意・不得意を理解して比較しましょう。
比較:外張り断熱と内断熱、それぞれのメリット・デメリット
項目 | 外張り断熱 | 内断熱 |
---|---|---|
熱橋(ヒートブリッジ)の抑制 | 構造体が断熱で覆われ、熱橋を減らしやすい | 構造材が露出しやすく、断熱材との接点で熱橋が発生しやすい |
断熱性能の安定性 | 外気の影響を受けにくく、性能が安定しやすい | 壁内温度変動が大きく、構造体結露のリスクあり |
内部空間の確保 | 壁厚が増えるが、内部寸法は保持できることが多い | 断熱材の厚みを確保するために室内を多少削る必要あり |
工事の手間・費用 | 外壁解体や足場設置が必要なため、費用と手間がかかる | 部分的な施工がしやすく、費用面で比較的取り組みやすい |
維持管理性 | 外側に断熱層があるため、メンテナンスがやや難しい | 内部側で管理しやすく、点検や補修を行いやすい |
リノベーション適応性 | 既存の外観を変えずに施工が難しい物件もあり | 内部工事が中心なので、既存の外壁を保持しやすいケースも多い |
それぞれ向くケース・選び方のポイント
外張り断熱に向くケース
- 建て替えに近い全面リフォームを前提にしている
- 意匠的な外観への影響を最小に抑えたい
- 熱橋対策を優先したい
- 高性能住宅を目指したい
内断熱に向くケース
- 部分的な断熱改修(壁・天井の一部など)を行いたい
- 外壁を残さなければならない事情がある
- コストを抑えたい
- 内装と断熱を同時に見直したい
実際の施工例から学ぶ
ある住宅では、外壁塗装を機に外張り断熱を導入し、冬場の底冷えがほとんど消えたという事例もあります。
また別の住宅では、内装を一新する際に内断熱を併用し、コストを抑えつつ断熱改善を図った例もあります。
それぞれのケースには、建物の構造・築年数・予算が判断要素として強く影響しています。
選ぶ際のチェックポイント
- 既存構造体の状態(外壁の強度・耐久性)
- 断熱厚み・熱性能の目標値
- 将来のメンテナンス性
- 施工者の技術力と経験
- 予算とコスト配分
- 意匠・外観・内装との兼ね合い
これらをあらかじめ整理し、複数案で比較検討できるようにしておくと安心です。
次回予告
次回は「全館空調システムを導入するかどうかを検討する」というテーマで、断熱・温熱環境の中心としての空調方式を取り上げます。高断熱リノベとの相性や注意点を含めて解説します。
資料請求・お問い合わせ
資料請求はこちらから
賢い夫婦がやっぱり選んだ注文住宅専門工務店「かおり木工房」
住所:静岡市葵区瀬名川1-27-53
電話:054-261-2807(受付 10時〜17時)
社長直通:090-6587‑4713(「HP見た」とお伝えください)
施工エリア:静岡市・焼津市・藤枝市