
気密工事(隙間風対策)について
断熱性能を最大限に引き出す“見えない仕事”の重要性
気密が「体感温度」を変える理由
冬の朝、暖房を入れてもなかなか部屋が温まらない──。
そんな経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
その原因の多くは、隙間風=気密性の不足にあります。
どんなに高性能な断熱材を使っても、家に“すき間”があれば、そこから暖気や冷気が逃げてしまいます。
つまり、「断熱」と「気密」はセットで考えるべきもの。
この記事では、気密工事の仕組み・施工のポイント・注意点をわかりやすく解説します。
気密工事とは? 目に見えない“住宅の密閉技術”
気密工事とは、建物の内部と外部の空気の出入りを最小限にするための工事です。
主に以下の目的で行われます。
- 暖房・冷房の効率を高めて、室内の温度を一定に保つ
- 結露やカビの発生を防ぐ
- 外気の影響を減らして快適な室内環境を作る
- 換気システムを適切に機能させる
「C値(相当隙間面積)」という指標で、気密性能の高さを数値化できます。
この値が低いほど、すき間の少ない住宅=高気密住宅ということになります。
気密工事の基本構造
気密を確保するためには、建物全体を一体的に密閉する必要があります。
そのため、断熱材だけでなく以下のような施工が重要です。
施工箇所 | 使用する部材 | 主な目的 |
---|---|---|
壁・天井の継ぎ目 | 気密シート/気密テープ | 外気の侵入を防ぐ |
配線・配管の穴まわり | 気密パッキン/コーキング | 隙間風の封止 |
サッシまわり | 気密パッキン・ウレタンフォーム | 窓枠の漏気防止 |
床下や天井裏 | 防湿シート・断熱パネル | 冷気の侵入防止+湿気管理 |
これらの処理が不十分だと、目に見えない「空気の逃げ道」が生まれ、快適性が損なわれます。
隙間風の侵入ポイントと対策
実際の住宅では、どのような部分から空気が漏れるのでしょうか。
以下のような箇所が「隙間風の定番ポイント」です。
- 窓・サッシまわり
→ パッキンやコーキングの劣化で気密性が低下。樹脂サッシや二重窓で改善。 - コンセント・スイッチボックス周辺
→ 壁内とつながる部分に隙間ができやすく、冷気が入り込みやすい。気密ボックスで防止。 - 天井照明の配線穴
→ 天井裏の空気が室内へ。気密カバーで封止が有効。 - 配管の立ち上がり部(給排水管など)
→ 外気に接する床下から冷気が上昇。発泡ウレタンや防湿パッキンで補修。 - 玄関ドア・勝手口
→ 隙間風の大きな原因。気密パッキンの交換やドア下のスウィープを設置。 - 屋根裏・点検口
→ 建物上部のすき間は暖気が逃げやすく、結露リスクも高い。
気密工事の種類と施工方法
1. 新築・大規模リノベーションの場合
断熱工事と同時に気密シートを施工します。
壁面・天井を連続させて、つなぎ目を気密テープで密封。
さらに、配線・配管部分をコーキングで丁寧に処理します。
施工精度を高めるため、中間気密測定(上棟後〜石膏ボード施工前)を行うのが理想的です。
2. 既存住宅・部分リフォームの場合
すべてを密閉することは難しいため、「隙間を重点的に減らす」考え方で対応します。
たとえば、
- サッシの交換・パッキン補修
- コンセントボックス気密化
- 天井裏・床下へのウレタン吹付
など、部分的な改修で快適性を大きく改善できます。
気密工事を成功させるポイント
- 断熱と気密をセットで考える
断熱材を入れても、すき間があれば効果は半減します。
特に吹付ウレタンなどは、断熱と気密を同時に確保できる素材として有効です。 - 施工者の技術が最重要
どんなに良い材料でも、施工が甘ければ性能は出ません。
気密測定(C値測定)を実施してくれる会社を選ぶのが安心です。 - 換気システムとのバランスを取る
気密を高めすぎて換気不足になると、湿気やCO₂がこもりやすくなります。
熱交換型換気システムの導入をセットで検討しましょう。 - 経年メンテナンスを意識する
気密テープやシール材は時間とともに劣化します。
5〜10年ごとの点検が理想です。
体感温度・光熱費への効果
気密性を高めると、冷暖房効率が飛躍的に向上します。
冬は暖房を弱くしても室温が安定し、夏は冷気が逃げにくくなります。
その結果、年間光熱費を15〜25%削減できたという事例もあります。
また、気密性能が高い家は温度ムラが少なく、廊下や脱衣所の寒さも緩和。
ヒートショックの予防にもつながります。
まとめ:気密工事は“快適な暮らしの土台”
「断熱リフォームをしたのに、まだ寒い」と感じる多くの家は、気密性が不足しています。
見えない部分にこそ、暮らしの質を左右する重要な要素があります。
リフォームを検討する際は、断熱材+気密施工+換気設計をセットで考えるのがポイントです。
次回予告
次回は「外張り断熱 vs 内断熱、それぞれのメリット・デメリットを調べる」。
どちらの工法があなたの家に向いているか?費用・性能・工期の違いを詳しく解説します。
資料請求・お問い合わせ
資料請求はこちらから
賢い夫婦がやっぱり選んだ注文住宅専門工務店「かおり木工房」
住所:静岡市葵区瀬名川1-27-53
電話:054-261-2807(受付 10時〜17時)
社長直通:090-6587−4713(「HP見た」とお伝えください)
施工エリア:静岡市・焼津市・藤枝市