
自然素材を使った断熱リノベがあるか調べる方法とは
健康・風合い・快適性を重視した素材選びのポイント
なぜ自然素材リノベに注目が集まるのか
近年、「無垢材」「漆喰」「珪藻土」など、自然素材を積極的に取り入れた住宅リノベーションが人気を集めています。
その理由は、断熱性能を保ちつつ“健康性”“質感”“風合い”を両立できる可能性があるためです。
ただし、自然素材だからといって無条件で良いわけではありません。
素材の特性を理解し、断熱設計と整合させながら使わなければ、期待した効果が得られないこともあります。
この記事では、自然素材を使った断熱リノベのメリット・デメリット、代表的な素材と選び方、注意点、実例を通して「どこまで現実的か」を見ていきます。
自然素材断熱リノベのメリット
自然素材を断熱改修に取り入れることには、以下のような利点が期待できます。
1. 健康面での安心感
自然素材は、有害な化学物質を含まないケースが多く、シックハウスリスクを抑えやすいという特性があります。
アレルギー体質の方や子ども・高齢者のいる家庭には、大きな魅力となります。
(例:無垢材や漆喰を多用する住宅では、化学薬品の揮発成分が少ないという訴求がしばしば見られます)
2. 調湿性・吸湿放湿性
無垢材・漆喰・珪藻土などは湿気をある程度吸収・放出する性質を持つため、湿度の変動を緩和し、室内環境を穏やかに保つ役割を果たすことがあります。
これにより、結露やカビの抑制効果も期待できます。
3. 断熱性・蓄熱性の補助
無垢材や厚い木材は、金属・ビニール系素材に比べて熱伝導率が比較的低く、体感温度を少し緩やかにする性質があります。
また、室内が暖まった熱をある程度蓄える能力を持つケースもあり、断熱補助的な役割を果たすこともあります。
4. 経年変化・風合いの楽しみ
自然素材は経年による色調変化や質感の変化を楽しむことができ、住むほどに味わいが増す家になります。
このような“時間の経過”を楽しむ設計要素も、自然素材リノベの大きな魅力です。 (リノベる)
デメリット・注意すべき点
自然素材を用いることには、注意すべき点もいくつかあります。断熱設計とバランスを取らないと、思わぬトラブルになる場合があります。
1. コスト上昇
自然素材は一般的に価格が高めになりがちです。高品質な無垢材、漆喰・珪藻土などは素材単価も施工手間も上がり、結果、全体の費用が増加する傾向があります。
2. 性能のばらつき・品質管理
自然素材は素材の個体差が出やすく、含水率・木材の乾燥・反り・収縮・割れなどの変形が起こりやすい性質があります。
適切な管理・施工をしないと、空隙や亀裂・断熱性能低下のリスクを招くことがあります。
3. 施工難度・職人技術依存
自然素材を美しく・精密に仕上げるには、職人の技術と経験が不可欠です。特に補修性・調湿性を活かすには手間がかかることもあります。
リノベーション時の下地処理・角部処理・対応素材間の取り合いなどに十分な配慮が必要です。
4. 湿気・水分管理
自然素材は湿気を扱う性質を持つことが多いため、過湿環境や水漏れには弱さを持つ場合があります。防水や換気設計が甘いと、素材劣化やカビの原因になる可能性があります。
主な自然素材とその特性・使い方
以下、断熱リノベでよく使われる自然素材を、断熱との相性も含めて紹介します。
無垢材(木材全般)
- 特徴:温かみがあり、調湿性あり。表面に凹凸や木目の表情が出やすく、足触り感も心地よい。
- 断熱との相性:内部仕上げ材として使うことで、断熱層の保護や体感温度向上に役立つ。ただし、断熱材そのものとしては主材料にはなりにくい。
- 注意点:乾燥収縮・反り・割れ対策、含水率管理が重要。
漆喰・しっくい
- 特徴:調湿性・防カビ性・抗菌性が期待でき、無機質で経年変化が少ない
- 断熱との相性:主に内装仕上げ材として使われ、断熱層の仕上げとセットで使う。熱保有性能は高くないため、断熱材との併用が前提。
- 注意点:ひび割れしやすいこと、硬化後の柔軟性の低さに配慮が必要。
珪藻土
- 特徴:細孔構造により吸放湿性があり、消臭性も期待できる
- 断熱との相性:内装壁材として断熱性能を補助する。
- 注意点:粉落ちしやすいタイプがある、メンテナンス性に注意。
セルロースファイバー(再生紙系)
- 特徴:再生紙を原料とする、調湿性・防音性も兼ねる断熱材
- 断熱との相性:断熱材として使われる例もある自然系素材。比較的生態に優しい選択肢。
- 注意点:防火性・防虫性処理が必須、湿気管理を適切に行うこと。
自然素材リノベの設計ポイント・工夫
自然素材を効果的に使いながら断熱性能を確保するには、以下のような工夫が重要です:
① 断熱層と自然素材層を明確に分ける
断熱材(グラスウール・ウレタン等)を主要な断熱層とし、その外側・内側に自然素材を仕上げとして配置する構成が一般的です。
② 下地・密閉性をしっかりと設計する
自然素材を直接扱う場合、隙間・気密性確保が疎かになると効果が落ちるため、シーリングや気密シートなどを併用して施工することが大切です。
③ 素材間の取り合いを丁寧に処理する
断熱材・構造体・自然素材部材が接する部分の取り合い処理(コーナー、開口部、継ぎ目など)を丁寧に行うことで、性能低下を防ぎます。
④ 湿気・換気設計を重視する
自然素材は湿気を持ちやすいため、計画的な換気システム(特に熱交換型換気)を組み合わせることで、素材の耐久性・室内環境を安定化させます。
⑤ 部分採用で効果を検証する
まずは使いたい箇所(例えばリビング壁の一面、寝室の天井)から自然素材を試してみて、その後全体展開を検討する方法も有効です。
実例紹介:自然素材断熱リノベの現場
事例:自然素材断熱リノベーション
あるマンションリノベでは、既存の発泡ポリスチレン断熱をすべて除去し、押出方ポリスチレンフォーム断熱材を用いた断熱改修を行いました。室内は漆喰・無垢床で仕上げられています。
このプロジェクトでは、断熱性能を高めつつ、自然素材特有の温かい風合いや湿度コントロールを実感できる空間になりました。
まとめ:自然素材断熱リノベを成功させるために
自然素材を取り入れた断熱リノベーションは、健康性・快適性・美しさを兼ね備えた住まいを実現できる可能性を秘めています。ただし、素材単体の魅力に溺れず、断熱設計・気密性・換気設計との一体設計が不可欠です。
ぜひ、これらのポイントを意識しながら、あなたにあった自然素材リノベーションを検討してみてください。
次回予告
次回は「光熱費の削減効果を数値・事例で比較する」をテーマに、高断熱リノベ後のコスト削減シミュレーションから具体的な実例を交えて解説します。
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