廊下幅とドア幅とは?静岡市の工務店が介護を見据えた寸法を解説
こんばんは、かおり木工房の宗野です。
早いもので今日から10月で残りあと3ヶ月。月日がすぎるのはあっという間ですね。静岡も日が短くなり、夕方の廊下が急に暗く感じる季節になりました。この時期にご相談が増えるのが、ご両親のことです。実家の階段が急になってきた、廊下で杖をつくのが窮屈そうだという話から、では自分たちの家はどうかという流れになります。今日は、あまり表に出てこないけれど大切な、廊下幅とドア幅の話をします。
静岡市の家づくりで廊下幅が話題になりにくい理由
間取りの打ち合わせでは、リビングの広さ、部屋数、収納量が中心になります。廊下はできるだけ短く、狭くというのが基本の考え方です。廊下は面積を使うだけで何も生まないと言われることもあり、実際、廊下を減らせば同じ坪数で部屋を広くできます。
その考え方自体は間違っていません。ただ、廊下を狭くすることと、将来の使いにくさは別の問題として整理しておく必要があります。数センチの差が、二十年後に大きな違いになることがあるからです。
廊下幅とドア幅の目安を静岡市の工務店が解説
一般的な木造住宅では、廊下は柱の芯から芯までを九一〇ミリで計画することが多く、実際に歩ける有効幅は七八〇ミリ前後になります。大人が一人で歩くには十分ですが、両手に荷物を持ってすれ違うと肩がぶつかります。
車椅子を使う場合、自走式で真っ直ぐ進むには有効幅で八〇〇ミリ以上が必要とされます。曲がる場所ではさらに広さが要ります。介助する方が横につくなら、一段と余裕が欲しくなります。つまり、標準的な廊下では真っ直ぐ通れても、曲がり角で苦労するということです。
ドアについても同じことが言えます。標準的な室内ドアの有効開口は七〇〇から七五〇ミリ程度です。車椅子で通るには七五〇ミリ以上、できれば八〇〇ミリ以上が望ましいとされます。ここで効いてくるのが引き戸です。引き戸は開いたときに開口をほぼ全部使えるうえ、開き戸のように扉の回る場所を確保する必要がありません。将来の介護を考えるなら、引き戸のほうが有利な場面が多いのです。
すべてを広げる必要はない。要点を押さえる考え方
ここで誤解していただきたくないのは、家中の廊下を広くしましょうという話ではないということです。全部を広げれば面積が増え、建築費も上がります。そうではなく、要点を押さえるという発想が現実的です。
押さえたいのは三か所です。一つ目は、将来寝室になる可能性のある部屋からトイレまでの経路。二つ目は、玄関から居間までの経路。三つ目は、洗面と浴室への入口です。この三本の線だけ、幅と曲がり角に余裕を持たせておく。それだけで、将来できることがずいぶん変わります。
加えて、一階に一部屋、寝室にできる部屋を確保しておくことをおすすめしています。平屋であれば自然に解決しますが、二階建てでも一階に和室や多目的室があれば、いざというときにそこが寝室になります。トイレが近ければなお良いでしょう。
もう一つ、費用をほとんどかけずにできる工夫があります。廊下に面した壁の一部を、あえて収納にしないという判断です。廊下の両側に収納の扉が並ぶと、開けたときに通路がふさがれます。片側だけにする、あるいは収納を引き戸にするだけで、実際に使える幅は変わってきます。図面の上では同じ幅でも、暮らしの中での広さは違うのです。
曲がり角の工夫も有効です。角を斜めに落とす、壁の出隅を丸める、あるいはその一か所だけ廊下を少し広げる。全体を広げるより費用の増え方は小さく、効果は大きくなります。
寸法だけでは足りない。温度差という見落とされがちな課題
ここまで寸法の話をしてきましたが、老後の住まいでもう一つ、いえ、もしかするとそれ以上に大切なことがあります。それが家の中の温度差です。
冬の朝、暖かい寝室から冷えた廊下へ出て、さらに冷たいトイレへ入る。この温度の落差が体に負担をかけます。血圧の急な変動は、高齢の方にとって現実的な危険です。厚生労働省も高齢者の生活環境について注意を促しています。廊下を広くしても、そこが寒ければ通るのがつらい場所であることに変わりはありません。
かおり木工房では、松尾式のG3断熱と第一種換気、全館空調を組み合わせ、家全体の温度差を小さくする設計をしています。廊下も、洗面所も、トイレも、居室とおおむね同じ温度に保つという考え方です。静岡は温暖と言われますが、冬の朝の冷え込みは本物で、無断熱に近い廊下では十度を下回ることもあります。寸法と温度、この両方がそろって初めて、安心して年を重ねられる家になると考えています。
静岡市・焼津市・藤枝市で寸法を決めるときの進め方
まず、間取り図の上で、寝室からトイレ、玄関から居間、洗面と浴室への三本の線を引いてみてください。次に、その線の途中で曲がる場所に印をつけます。そこが将来もっとも苦労する場所です。
そのうえで、その三本の線に関わる建具を引き戸にできないか検討します。引き戸にするだけで、開口が広がり、開閉の負担も減ります。廊下の幅を広げるより費用の影響が小さく、効果が確実に出る方法です。
床の段差についても、この段階で確認しておきましょう。廊下と部屋の間、洗面所と浴室の入口、玄関の上がり框。段差をなくすことが常に正解とは限りませんが、どこにどれだけの段差があるのかを把握しておけば、将来どこに手を入れればよいかが分かります。特に浴室の出入口は、水を止めるために少し立ち上げるのが一般的ですので、そこをどう扱うかは早めに決めておくと安心です。
最後に、下地の準備です。手すりは今すぐ付ける必要はありませんが、付けられる状態にしておくことはできます。この考え方については、壁下地の補強の記事でも詳しくお話ししています。
まとめ
廊下幅とドア幅は、暮らし始めたときには気にならない部分です。しかし、体が思うように動かなくなったときに、家の使いやすさを決める要素になります。すべてを広げる必要はなく、大切な三本の経路に絞って余裕を持たせれば十分です。
そして、寸法と同じくらい、あるいはそれ以上に、家全体の温度差を小さくしておくことが老後の安心につながります。静岡市・焼津市・藤枝市で家づくりをお考えの方、また五十代六十代でこれからの住まいを検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。図面を見ながら、将来を見据えた寸法と性能の両面からお話しさせていただきます。
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