地震に強い室内とは?静岡市の工務店が家具の転倒対策と設計のコツを解説
こんばんは、かおり木工房の宗野です。
十一月に入り、静岡の夕暮れは、ずいぶん早くなりました。空気が澄んで、遠くの山並みまではっきり見える日も増えています。秋の深まりを感じるこの季節は、防災の備えを見直すのにも、向いている時期です。
地震に強い家というと、柱や壁、基礎といった構造の話になりがちです。もちろん、建物そのものが壊れないことが何より大切です。けれど、実際の地震では、建物が無事でも、家のなかで家具が倒れたり、物が落ちたりして、けがをしてしまう例が少なくありません。今日は、建物の構造に加えて、室内の安全という、もう一歩踏み込んだ視点でお話しします。
建物が無事でも、室内でけがをする理由
大きな地震のとき、人がけがをする原因の多くは、家具の転倒や落下、割れたガラスによるものだと言われています。背の高い本棚や食器棚、冷蔵庫、テレビなどは、強い揺れのなかで倒れたり、動いたりします。その下敷きになったり、散乱した物で逃げ道がふさがれたりする危険があります。
静岡県は、南海トラフ地震への備えが特に求められる地域です。県や市町も、家具の固定を呼びかけています。建物の耐震性を高めることと、室内の安全を整えることは、車の両輪のようなものです。どちらか片方だけでは、安心とは言えません。
家具の固定は、壁の下地がカギになる
家具を固定するとき、いちばん大きな問題になるのが、壁の下地です。一般的な室内の壁は、石こうボードという板が張ってあり、そこに直接ネジを打っても、しっかり効きません。固定するには、壁の内側にある柱や間柱、あるいは補強のための下地がある場所を探す必要があります。
既存の家では、この下地を探して、位置を確認してから固定します。一方、新築であれば、家具を置く壁の内側に、あらかじめ下地を入れておくことができます。家具を置く予定の場所、テレビやエアコンを取り付ける場所、将来、手すりを付けるかもしれない場所に、下地を仕込んでおく。こうした設計は、完成してからでは難しいので、計画の段階でお伝えしています。
造り付けの収納で、置き家具を減らす
室内の安全を高めるいちばん確実な方法は、倒れる家具そのものを減らすことです。壁と一体になった造り付けの収納は、家の構造に固定されているため、地震で倒れる心配が少なくなります。寝室や子ども部屋、廊下まわりには、置き家具ではなく、作り付けのクローゼットや収納を計画するのがお勧めです。
ただ、造り付けにも注意点があります。扉が地震の揺れで勝手に開いて、中の物が飛び出さないよう、耐震ラッチと呼ばれる留め具を付けておくと安心です。また、高い位置に重い物をしまわない、という収納のルールを決めておくだけでも、落下による危険は減ります。
寝室の配置と、割れにくいガラスの考え方
寝ているあいだの地震は、とっさに身を守ることが難しいので、寝室の安全は、特に大切です。ベッドや布団の周りには、倒れてくる物を置かない。窓の近くで寝る場合は、ガラスが割れたときの飛散に備える。こうした配慮が、けがの予防につながります。
窓ガラスには、飛散防止のフィルムを貼る方法や、割れにくい仕様のガラスを選ぶ方法があります。私たちが手がける高断熱の家では、複層ガラスや、樹脂サッシを使いますので、ガラスの強度の面でも、備えやすい仕様になっています。もちろん、どんなガラスでも、強い衝撃では割れることがあるので、寝室の窓まわりに物を置かない配慮は、欠かせません。
避難のための通り道を、いつも空けておく
地震のとき、家のなかから安全に外へ出られるかどうかは、通り道の確保にかかっています。玄関までの廊下に物が置かれていないか、扉が開かなくなる危険はないか、という点です。建物が少し歪むと、玄関のドアが開きにくくなることもあるので、寝室の窓や、別の出口を確保しておくと安心です。
また、停電に備えて、足元を照らす非常灯を、寝室や廊下に備えておくことも大切です。以前の記事でも、地震への備えと、暮らしのなかの工夫をお伝えしましたが、こうした備えは、特別なことではなく、毎日の暮らしの延長にあるものです。
耐震等級3の家は、室内の揺れ方にも違いがある
建物の揺れ方も、室内の安全に関わってきます。耐震等級3の家は、建築基準法で求められる強さの、一・五倍の力に耐えられるように設計されています。私たちは、許容応力度計算という詳しい構造計算を行い、家全体のバランスを確認しています。建物の変形が小さければ、家具が倒れたり、建具が歪んだりする危険も、抑えやすくなります。
ただ、「耐震等級3だから、家具の固定は必要ない」ということではありません。建物の強さと、室内の備えは、組み合わせてはじめて効果を発揮するものです。
家族で一度、地震のときの動きを話しておく
設計や設備の備えに加えて、ご家族で、地震のときにどう動くかを、一度話し合っておくことも大切です。寝室でどこに身を寄せるか、お子様はどこに集まるか、離れているときは、どこで連絡を取り合うか。簡単な決まりごとをつくっておくだけで、いざというときの落ち着きが違ってきます。
とくに、五十代、六十代のご夫婦の場合は、お子様や、離れて暮らす親御さんとの連絡の取り方も、あらかじめ決めておくと安心です。家具の固定や、収納の見直しは、一度に全部やろうとせず、寝室から、次は廊下、というように、順番に進めていけば、無理なく続けられます。住まいの備えは、完成させるものではなく、暮らしのなかで育てていくものです。
まとめ:室内の安全は、設計と暮らしの工夫で守る
地震に強い室内にするために、お伝えしたいことは三つです。家具を固定できるよう、壁の下地を、新築のときに入れておく。倒れる家具を減らし、造り付けの収納を活用する。そして、寝室や廊下、避難経路まわりを、いつも安全な状態にしておく。この三つを押さえておくだけで、備えの質は大きく変わります。
家づくりは、材料よりも設計です。建物の強さと、室内の安全を、一緒に考える設計が、いざというときのご家族を守ります。地震への備えや、室内の安全についてのご相談は、静岡市・焼津市・藤枝市の方は、お気軽にご連絡ください。
参考:内閣府 防災情報のページ
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