造作収納と造り付け家具のメリット・デメリットとは?静岡市の工務店が解説
こんばんは、かおり木工房の宗野です。
静岡市は今日も朝から夏空が広がり、日中は体にこたえる暑さになりました。夕方に少しだけ吹く風がありがたく感じられる、そんな季節ですね。
さて今日は、注文住宅の打ち合わせで必ずと言っていいほど話題になる、造作収納と造り付け家具についてお話しします。モデルハウスやSNSで壁一面の本棚や造り付けのテレビボードを見て、うちもこんな収納が欲しいと思われた方は多いはずです。ただ、造作収納には向き不向きがあり、何でも造り付けにすればよいというものではありません。メリットとデメリットを整理しながら、静岡市の家づくりでどう取り入れるべきかを工務店の視点でお伝えします。
造作収納・造り付け家具とは
造作収納とは、家の設計に合わせて大工や家具職人が現場で造る収納のことです。壁の寸法にぴったり合わせた本棚、カウンターと一体になった学習コーナー、洗面脱衣室のリネン棚、玄関のベンチを兼ねた収納などが代表例です。既製品の家具を後から置くのではなく、建物の一部として最初から造り込むのが特徴です。
細かく言えば大工工事で造る棚と家具工事で造る造作家具に分かれますが、ここではまとめて、建物と一体で計画する収納全般として考えていただいて構いません。
造作収納のメリット
最大のメリットは、空間に無駄が出ないことです。既製品の家具は規格寸法で作られているため、壁との間に中途半端な隙間ができがちです。造作なら幅も高さも奥行きも住まいに合わせられるので、天井までの空間を余さず使えます。同じ面積でも既製品より一回り多くしまえることが珍しくありません。
二つ目は、地震に強いことです。静岡で家づくりをする以上、地震への備えは避けて通れません。造り付けの家具は壁や床に固定されているため、大きな揺れでも倒れてくる心配がほとんどありません。背の高いタンスや本棚が寝室に置いてある暮らしと比べると、安全性の差は歴然です。地震のけがの原因として家具の転倒は大きな割合を占めるとされており、寝室や子ども部屋こそ造作収納の価値が高い場所だと私たちは考えています。
三つ目は、掃除のしやすさです。床から浮かせた吊り戸棚やフロートタイプのテレビボードにすれば、家具の下や隙間にほこりがたまらず、ロボット掃除機もそのまま通れます。家具のすき間の掃除から解放されるのは、日々の家事にとって想像以上に大きなことです。
四つ目は、空間の統一感です。床や建具と同じ樹種や色で仕上げれば、部屋全体が一つの空間としてまとまります。木の質感をそろえた造作は、既製品ではなかなか出せない落ち着きを生みます。国も住宅への木材利用を後押ししており、木の内装がもたらす心地よさは林野庁の木材利用の取り組みでも紹介されています。
造作収納のデメリット
一方で、デメリットもはっきりしています。まず費用です。量産される既製品と比べると、職人が一つずつ造る造作はどうしても割高になります。同じ収納量なら既製家具の何倍もかかる場合があることは、正直にお伝えしなければなりません。
次に、動かせないことです。造り付けは模様替えができません。子どもの成長や家族構成の変化で部屋の使い方が変わったとき、固定された収納が逆に自由度を奪うことがあります。テレビの大きさや家電の規格が変わって、せっかくの造作が合わなくなったという声も実際に聞きます。
もう一つは、設計の手間です。何をどこにしまうかを設計段階で決めておかないと、奥行きが深すぎて手前しか使わない棚や、コンセントを忘れた家電置き場といった、惜しい造作になってしまいます。造作収納は図面ができてから足すものではなく、間取りと同時に考えるものなのです。
造作に向く場所、既製品でよい場所
私たちがおすすめしているのは、全部を造作にするのではなく、場所で使い分ける考え方です。造作に向くのは、寸法が決まっていて使い方が長く変わらない場所です。玄関の土間収納、洗面脱衣室のリネン棚、パントリー、トイレの吊り戸棚、クローゼットの内部などは造作の価値が高い場所です。地震時の安全を優先したい寝室の壁面収納も造作向きです。
逆に、子ども部屋の家具や書斎の棚など、使い方が数年単位で変わる場所は、あえて既製品や可動棚にしておく方が暮らしの変化に追従できます。可動棚のレールだけ新築時に仕込んでおき、棚板は暮らしながら増減していく折衷案も人気があります。焼津市や藤枝市のお客様でも、この使い分けで満足度の高い収納計画になったお宅がたくさんあります。
造作収納と湿気・温度の関係
もう一つ、工務店として必ずお伝えしたいのが、収納と湿気の関係です。壁一面の造作収納は、裏側の壁との間で空気が動きにくくなります。断熱の弱い外壁に面した収納では、冬に壁の表面が冷え、しまい込んだ物との間に湿気がこもってカビが生える、押し入れの奥と同じ現象が起きることがあります。
ですから造作収納の計画は、家の断熱・気密性能とセットで考える必要があります。かおり木工房では、松尾式のG3断熱と一種換気、全館空調を組み合わせて、家中の温度差を小さく保つ家づくりをしています。壁の表面温度が下がりにくい家は、収納の中の結露やカビのリスクも小さくなります。北側の部屋の壁面収納も安心して計画できるのは、性能という土台があってこそです。収納の使い勝手は設計力、収納の中の空気環境は性能。この両方がそろって、長く気持ちよく使える収納になります。
費用の考え方
費用については、造作は高いから諦めるのではなく、優先順位をつけるのが現実的です。毎日使う場所、地震時の安全に関わる場所、湿気がこもりやすい場所から順に造作を検討し、それ以外は既製品を上手に組み合わせる。この考え方なら、総額を抑えながら造作の良さを最大限に生かせます。新築時には下地とコンセントだけ仕込んでおいて、家具は暮らしながら追加していく方法も、資金計画にやさしい選択です。
まとめ
造作収納と造り付け家具は、空間を無駄なく使え、地震に強く、掃除がしやすく、統一感のある住まいをつくれる一方で、費用と可変性では既製品に譲ります。大切なのは、全部か既製品かの二択ではなく、場所ごとの使い分けと、断熱・気密という土台の性能まで含めて計画することです。
静岡市・焼津市・藤枝市で収納にこだわった家づくりをお考えの方は、今の持ち物と20年後の暮らしを一緒に棚卸しするところから始めてみませんか。かおり木工房までお気軽にご相談ください。
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